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事例紹介ペントハウスの家@千代田区
東京の真ん中、最上階のペントハウス
祖母が大切に暮らした住まいを引き継ぐリノベーション
ビルがひしめく東京都千代田区。かつて祖母が暮らしていた空間を全面的にリノベーション。
十数年いたニューヨークを離れ、東京を生活の拠点に移した30代の夫婦の住まいへと生まれ変わりました。
間口5m、長さ25mの駅舎の様な細長い空間。水回りを中心に配置し、右手にLDK+書斎、左手に寝室や収納・応接室などをレイアウト。
玄関の土間から洗面室・トイレ・キッチンなどの水廻りまでを全て同じ床材で統一。部屋同士につながりが生まれ、広がりのある空間に変化した。
フロートした玄関収納足元には間接照明、壁にはブラケット照明をセレクト。ほんのりと照らされた落ち着きのあるエントランススペースが都会の喧騒を忘れさせる。
間延びしすぎていた既存のリビングスペースには手前にキッチン、奥にスタディースペースを設けた。料理をしている人とソファーでくつろぐ人が同じ空気感でいることを大切にした間取は、ひとつの大きな空間でありながらも家具などで緩く区切る事で、互いの気配を感じながらも適度な距離を保つことができる。
外から柔らかい光が差し込むリビングの一角。
4mの長い壁面には、細長いくぼみと小さな棚をシンプルに設え、壁にはご夫婦の思い出の地、マンハッタンの風景をディスプレイ。何もないフラットな壁面に敢えて何かを飾るためのスペースを存在させることで、まるでギャラリーにいるかのような特別感に。
部屋の巾木は全体の広さとバランスを見ながら高さを12cmに統一。しっかりと足元に重みをもたせつつ、壁から突き出ないような収まりとすることで、天井から床まで一直線のキレイなラインが描かれた。床材が切り替わる部分にはアクセントに真鍮の見切り材を埋め込んだ。時が経つほど色や表情が味わい深く変化する。
扉は場所ごとに存在感のあるものと、シンプルに空間になじむものとを分けメリハリをつけていった。使い易さとコストダウンのために既製品の扉板を使用したが、取っ手を空間に合うような華奢なものに付け替えることでオーダーメイド感がでている。
存在感のあるアイランドキッチン。側面には薄塗りでも強度がありモルタルのような表情のある質感が近年人気の左官材「MORTEX」で仕上げた。ミッドセンチュリーの家具が空間のよいスパイスに。
キッチンの壁面にはサブウェイタイルを貼って少しインダストリアルな雰囲気に。日々よく使用するキッチンツールは一番取り易い位置にハンギングできるよう、バーの位置にこだわった。さりげなく窓に置かれたキッチンタイマーや雑貨が生活感を匂わせ、親しみのある空間にしてくれている。
キッチン奥には冷蔵庫も収まるほどの大きなパントリーを備えた。必要に応じ可動棚と固定棚を組み合わせ棚の奥行きをしっかりと計画することで、重いものや大きなものまで無駄なくすっきりと収納できるようになっている。また、インターホンや床暖房のリモコンなども外から目立ちにくいパントリー内に設置する事で、リビングまわりの壁がノイズレスになるような工夫が施されている。
玄関から続いている床材を洗面室やトイレの壁にもあしらうことで空間が立体的に感じられ、つながりがうまれた。
洗面台は足元を浮かせてすっきりと。トイレは間接照明を奥行方向に設置しコンパクトな空間に広がりをもたせている。
機能的にまとめた寝室スペースはヘッドボードと壁の幅を合わせそのまわりを導線とすることで、シンプルにすっきりとまとめた。頭上のニッチには写真や花を飾ったり、サイドテーブルがわりに携帯電話や目覚まし時計を置いている。
どこか懐かしさの漂う応接室。壁に飾られた鹿の角は以前玄関に飾られていたもの。木組天井は既存のものをそのままいかした。
空に向かって切り取られた天窓は壁に飾られた写真に光をまっすぐ届けたり、アイランドカウンターをステージの様に照らしたり…四季を通じ異なる位置に影をおとしながら特別な時間を楽しませてくれる。
もともと閉ざされていた天窓を解放したことで、天気のうつろいや雨音などが直接部屋へ伝わってくるように。
使いやすいよう必要な修繕を施して新しいものを取り入れつつも古いものを大切にいかし、住み継いでいく…
既存の空間のディティールがうまくいかされたリノベーションとなりました。
【Data】
用途 : 住居
家族構成 : 夫婦(30代)
延床面積 : 約150㎡
リノベ完成年 : 2017年
構造 : SRC造 地下1階 地上7階建
設計 : Small Design Studio